仕事以外の出来事に関して、一番、印象に残っているのは、10月に、コロナ前の2019年以来、5年振りにライブに出演して、2曲、歌を歌った事ですね。
声を掛けてくれはったのは、5年前と同じ人やったんですけど、もう、かれこれ、この人と知り合って、20年になります。
彼が、2004年に、当時、僕が、ボーカリストとして所属していたバンドに、ベーシストとして加入してくれはって以来のお付き合いになります。
当時は、ほんまに、よく喧嘩をした、いわゆる”犬猿の仲”やった僕たちなんですけど、20年の歳月を経て、今となっては、それも、良い思い出になっています。
今年の10月26日、5年振りのライブ当日の夜は、最高の思い出になりました。
僕は、5年振りの飛び入り参加のような立場やったんですけど・・・・・・というか、僕は、本格的なバンド活動は、2005年で引退しているような状況やったんですけど、そんな僕に、彼は、音楽好きな人達にとっては有名な、ものすごくカッコ良くて、素晴らしい曲を2曲、その日のライブのトリとして、歌わしてくれはりました。
普通、こんな事って、あり得ませんよね!?
しかも、演奏してくれはったのは、5年前のライブの時に、初めて会って以来、2~3回しか面識のないような人達で、そんな人達が、僕の為に、トリの2曲を演奏してくれはるやなんて、普通、あり得へんですよね!?
2005年に、僕は、ボーカリストとして、ステージに立つ事を引退した訳なんですけど、それは、当時、一緒に活動していたメンバーの、こんな一言が、きっかけでした。
とあるミーティングの時、意見が衝突した僕らは、激しく言葉を交わしていたんですけど、その時、そのメンバーが、僕に向かって、言いました。
「おまえ、自分1人のお陰で、目立ててると思ってたら、ライブ中に、違うとこ演奏して、歌われへんようにして、恥かかせたるからな!」
僕は、この言葉を聞いた瞬間に、ボーカリストとして歌う事に対する情熱が、一気に冷めてしまいました・・・・・。
「俺は、別に、目立ちたいからボーカルやってる訳やないがな。わざわざ、見に来てくれてはるお客さんに、ちょっとでも楽しんでもらいたい一心で、毎回、ステージに立ってんねん。それに、俺は、他のメンバーに対する感謝の気持ちは、常に忘れてへん。みんなが演奏してくれるから、俺は歌う事が出来るんや。そんなん、当たり前の事やんか。目立つとか、目立てへんとか、そうゆう問題ちゃうがな。ライブが、ショーである以上、あくまでも、お客さんに楽しんでもらう事が最優先で、大前提やんか。お客さんを無視して、内輪の事情で、ムチャクチャな演奏をして、”ざまぁみやがれ!”って、そんなライブやったら、バンド活動やったら、やらん方がマシやろ!」
加えて、僕は、思っていました。
「そもそもにおいて、ボーカリストが目立てへんバンドなんか、バンドとして、あかんやろ。ギター、ベース、ドラム、それぞれのパートが、それぞれの持ち味を発揮して、それぞれが目立つんが理想やん。バンドは、”誰が、一番、目立つか?”を競う集団やない。全員が、それぞれの持ち場で、ベストを尽くして、その総合力で、お客さんを楽しませるんが目的やんか。せやなかったら、1人だけ目立ちたいんやったら、バンドなんかやらんと、ソロでやったらええねん。」
結局、そのメンバーとは、その後、音信不通になってしまいました。
風の噂で、その後、そのバンドは、僕の代わりに違うボーカリストを入れて、何食わぬ顔で、活動をしていたと聞きました。
前に所属していたバンドを辞めて、もう、音楽活動はやめようかと考えていた僕を、熱心に誘って、メンバーとして迎え入れて、一緒に活動していた彼の仕打ちは、それは、ひどいもんでした。
今から19年前に、そんな出来事があり、彼に浴びせられた、ひどい一言を、ずっと引きずっていた僕なんですけど、せやけど、10月26日のライブに出演させていただいて、いたく心を動かされました。
誰が目立つ、誰が目立てへんとかではなく、メンバーの皆さんは、ただ純粋に音楽を楽しんではって、たったの2~3回しか会うた事のない僕なんかの為に、喜んで、演奏をしてくれはりました。
しかも、そんなに親しくもない僕が、トリを務める事に、誰も、嫉妬したり、僻んだり、文句を言ったりする事もありませんでした・・・・・もちろん、誰1人、僕に、「恥をかかせたろう!」なんて、思っている人もいませんでした。
みんなが、心から、演奏する事を、そして、音楽を楽しんではりました。
そして、それを見てくれてはるお客さん達も、そんなステージを楽しんではりました。
「音楽って、ええなぁ・・・・・・!」
初めて、僕は思いました。
この日は、19年前に喧嘩別れをした、また別のバンドメンバーさんとも、ライブ後に、ゆっくりとお話させていただく事が出来ました。
また別の、あまり仲の良くなかったドラマーさんも、僕がドラムを叩く時に、スティックを貸してくれたり、トラブルがあった時に、駆け付けたりしてくれはりました。
「仲間って、ええなぁ・・・・・!」
僕は、思いました。
20年程前から、人によっては、25年も前から、お互いに顔見知りの人達と一同に会して、ワイワイガヤガヤと、音楽を通して、酒が飲めるやなんて、考えたら、すごい事ですよね。
20代~30代頃の僕は、まだまだ若くて、いろんな人達と、喧嘩や衝突がありましたが、時が、それら全てを思い出に変えて、お互いに成長して、許し合いながら、また一緒に、音楽を通して語り合える、一緒に音楽が出来るやなんて、素晴らしい事やと思います。
音楽をやめてからの僕は、人と付き合う事がほとんどなくなって、仕事以外では、1人で山で過ごす事が多くなりましたが、
「人と付き合うのも悪くないな。」
「音楽って、ええな。」
今年は、ふと、そんな風にも思いました。
10月からこっちの、ムチャクチャ、最近の話ですけどね!(笑)
~続く~