2005.01.28 「大阪のディープサウス」その1

バンド時代のコラム

ちょっと前に、仕事で新世界に行きました。買い取り依頼を受けて出張した先は、ほんまに、びっくりするぐらい通天閣の真下にあるお店でした。

あそこらへんに関する良くない噂は、子供の頃から、かねがね耳にしとったんですけど、今回、生まれて初めて足を踏み入れました。

以前にも、いっぺん、この近辺に仕事に来た事がありました。その時は、俺がコンビニにおったら、いきなり、店の前の交差点に、他車の迷惑を顧みずにガンと斜めに停車する車があって、中から4人ぐらいの、見るからにガラの悪そうな、いかつい右翼関係の人間みたいな若い兄はんらがゾロゾロと出てきて、ドヤドヤとコンビニに入ってきました。俺は、「こんなんと肩でもぶつかったら、絶対に拉致されるわ、、、。」と直感的に思たもんです。

俺がコンビニで買いもんを済ませて、お客さんの家に戻る途中にも、黒塗りのいかつい車が狭い道のど真ん中に止まっとって、そのそばには、黒いスーツを着たいかつい兄はんが、誰かを迎えるために立ってました。たぶん、親分を待ってはったんでしょう。

ほんの10分ぐらいの間に、そんな光景を2度も目撃して、「やっぱり、噂はほんまやったんや。」と俺は妙に関心してました。

あそこらへんに住んでる地元の知り合いも、「新世界には行かんように、親から言われとった。あそこの人間は人種がちゃう。一歩踏み込んだら、目つき、顔つきがガラッと変わる。」ちゅうて、かつて俺に教えてくれました。車でも止めたら、中に金目のもんがあれへんか、目の色を変えて物色されるっちゅう話も聞いた事があります。

当日、俺が、新世界に向こて出発しようと準備をしていたら、「お前、そんなとこ仕事行くな。車離れた隙に、荷物盗まれて、道具屋に持って行って売られてまうぞ。」ちゅうて、仕事仲間のおっちゃんに言われました。

そない言うたら、あのへんの工事現場では工具が当たり前のように盗まれて、それが、また当たり前のように、次の日に道端で売られてるっちゅう話も、土木関係の仕事をしている知り合いから聞いた事があります。盗まれた工具を取り戻すためには、そこで金を払ろて買わなあかんそうです。あのへんには、あのへんのルールっちゅうもんがあるみたいです。

当日、お客さん宅に早く着き過ぎてしもた俺は、便所に行きたくなって、車を止めたまま、近くのコンビニに行きました。ほな、そこのコンビニには、「お手洗いの使用は、お断りいたします。」と張り紙がしてありました。

~続く~

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