仕方なしに、俺はちょっと歩いて、別のコンビニに行きました。ほな、そこの便所にも「使用はお断り！」ちゅう張り紙がしてありました。
次に、俺はゲームセンターに行き、そこの便所で用を足しました。ほんでもって、便所を出てから、手を洗おう思て、洗面所と向かい合うた時、俺の目には信じられへん張り紙の文字が飛び込んできました。
「ここで、洗髪はするな！！」
俺は思わず、噴出しそうになりました。「誰がゲーセンなんかで頭洗うねん！」ちゅうて思わず突っ込んでしもたんやけど、わざわざ、そないな張り紙をせなあかんちゅう事は、やっぱり頭洗う奴がおるっちゅう事なんでしょう。
「そうか、ホームレスのおっさんが頭洗うんやな！どうりでコンビニの便所が使用禁止な訳や！」と、次の瞬間に、俺は納得しました。と同時に「さすがは、ディープサウスや！恐るべし！」と思たもんです。
お客さん宅に戻った俺は、買い取りさせていただく家の中の商品を箱詰するために、前もって、１０個程のダンボールを組んで、玄関前の外に置かしてもろてました。ほな、それを見た家の人が、「それ、中に入れときはった方がいいですよ。」と声を掛けてくれはりました。
「そうか！そない言われたら、ここらへんは、ダンボール集めて回ってるおっさん多いもんな。さすがは、ディープサウスや！恐るべし！」
お客さんは、俺との約束の為に、別の場所から、そこへ来てはったんですけど、用事があって、３時には帰らんとあかんとの事でした。せやけど、思ったよりも商品の量が多くて、どうにも、３時迄には積み込みが終わりそうにありませんでした。
そこで俺は、「もし迷惑やなかったら、一旦全部商品を外に出さしてもろて、しばらく玄関前に置かしといてもろてもかまいませんか？いっぺん倉庫に荷を降ろしに帰って、それからまた取りに来さしてもらいますわ。奥さんは、３時になったら、戸締りして、帰ってもろてもかまいませんよ。」ちゅうて提案しました。
「やっぱり、置いとったら、盗まれまっしゃろか？」と俺が尋ねると、「すぐ近くで作業してる分には大丈夫でしょうけど、置きっぱなしは、ちょっと危険やと思いますわ。」お客さんは、そないに答えはりました。
地の人間が言うんやさかい、やっぱり、これは間違いない事なんでしょう。
「さすがは、ディープサウス！恐るべし！」
俺が仕事を終えた帰り道、でかい横断歩道のとこで、道路に向こて立小便してるおっさんが、いてました。
「そうか、彼らにとって、便所は、用を足す場所やなくて、頭洗う場所なんや。ディープサウス、恐るべし！」
～完～
