2005.03.26「回転寿司屋にて」その2

バンド時代のコラム

マニュアル通りの言葉を何の疑問もなく平気で口に出来る人間は、あんまり頭がええとは言えません。この女性も、厨房との連絡口に赤出汁や茶碗蒸しを注文しに行ったら、それが出来上がるまで、そこで厨房の中の人間と話をしながら待ってるような有様でした。

また別の女性従業員は、お盆に乗せて、俺が注文したラーメンを運んで来てくれました。

彼女は、俺に言いました。「ラーメンはご注文ですか?」

「はい、注文しましたよ。」俺は答えました。

ほな、驚いた事に、彼女は俺の席に、ラーメンの入ったどんぶりを2つ置いてどっかに行ってしまいました。俺は、どんぶり2つを見つめながら、しばらく動きが止まってしまいました。

何とか状況を把握した俺は、さっきの従業員を掴まえて、「2つも頼んでませんよ。」と言いました。

「あっ、1つだけでしたか!?」彼女は真顔で答えました。「2つも食えませんがな。」俺は言いました。

んなもん、常識で分かりそうなもんです。どうしても、2つ置きたいんやったら、「ご注文は、お二つでよろしかったですか?」ちゅうて聞くんが当たり前です。1人の客が、同時に、2つもラーメンを注文する確率が極めて低い事ぐらい、マニュアルに書いてあれへんでも知っとくべきです。そんなにラーメンの好きな人間は、寿司屋には来んと、ラーメン屋に行ってるはずです。

彼女が、1つだけどんぶりを下げようとしたんで、俺は、「別の席で2つ注文したお客さんが、おるんちゃいますか?それやったら、そっちを先にして、俺は後でもかまいませんよ。」ちゅうて、彼女に言いました。

食事を終えた俺は、精算ボタンを押しました。すると、そのラーメン娘が俺の席にやって来て、お皿を数えました。一度、お皿の数を告げて伝票を伏せて置いた彼女は、慌てて、もう一度、伝票を取り上げて、「あと、ラーメンがお一つですね。」と書き加えました。

そして、頭を下げながら、彼女が口にした最後の言葉は強烈でした。

「ごゆっくりどうぞ!」

あまりにも、おもしろかったんで、俺は、ツッコミを入れようと口を開きかけたんやけど、彼女は、「しまった!間違えた!」ちゅう表情を浮かべて、ちょっと口ごもった後に、慌てて、俺の前から駆け足で去って行ってしまいました。

某回転寿司屋さん、お願いです!

もうちょっとだけ、従業員教育に力を入れてくいただけませんか?

~完~

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