ちょっと前に、拳法の胴着に締める帯を新調しました。
別に、今、使こてる帯がボロボロな訳でもなくて、敢えて、新調する必要もなかったんですけど、たまたま、仕事で、お客さんの家に買取に行った時に、不用品と一緒に、お客さんが黒帯を出してくれはったんで、この機会に、新しいのをこしらえる事にしました。
ちょうど、いろいろとゴタゴタがあって、うちの道場の名称が、ちょっと前に変わったところやったんで、新しい帯に、新しい道場名を刺繍しようと思い立って、新調する事にしました。
今まで、僕が締めていた帯は、8年程前に初段になった時に、道場から、ご褒美に、無料でプレゼントしてもろたもんでした。帯の片側には道場名、もう片側には、僕の名前が金色で刺繍してありました。
僕は、今回、新調するに当たって、帯の片側に、自分の好きな言葉を刺繍する事にしました。高校の時に日本拳法部で活動してて、卒業後に、うちの道場に通うようになった人が、昔いてたんですけど、その人の帯に、”心眼”と刺繍してあったんが、妙にカッコ良く思えて、それを真似する事にしました。
刺繍候補には、いろんな言葉が挙がりました。自分自身に欠けている心を、常に、胸に留めておけるように、帯に目をやる度に、思い起こして、自分を戒める事ができるようにと、そういった類の言葉にしようかと、最初は思いました。その時に、候補に挙がった言葉は、「平常心」、「集中力」、「自信」などでした。
その次に考えたのは、別に、短い単語やなくても、ええんやないかという事で、僕の人生における座右の銘みたいな、故事の言葉でした。”人事を尽くして天命を待つ”、”人生万事塞翁が馬”、”虎穴に入らずんば虎子を得ず”などが、候補に挙がりました。せやけど、あんまり長い言葉を、ダラダラと書くのもどうかと思って、文章系はやめる事にしました。
そこで、次に考えたのは、ありきたりな単語よりも、世界に一つしかない自分だけの言葉をこしらえてみてはどうか、ということでした。最初に僕が考えたのは、「己を信じて力を尽くす」という意味で、”己信尽力”という言葉でした。
その次に考えたのが、「深い川は、静かに流れる」という僕の好きな言葉から、”深川静流”でした。せやけど、どっちにしても真面目過ぎて、何か僕らしさがなくて、面白みに欠けました。
そして、次に考えたのが「常に勝って負けない」を意味する、”常勝不敗(じょうしょうふはい)”の読み方は、そのままに、「いつも笑って、悖(もと)らない」という意味で、”常笑不悖(じょうしょうふはい)”という言葉でした。「悖(もと)る」という言葉は、ちょっと古い言い方で、「道に外れる」とか「背く」といった意味があります。四字熟語に、古い漢字を使うのもなかかオツやし、読み方は同じで、漢字だけを替えるっちゅう発想も、冗談が好きな僕らしくて、ええと思いました。
それでいて、僕の人生におけるテーマを、ものの見事にたったの四文字で表現しているではありませんかっ!
いつも笑顔で、楽しく生きて、人の道さえ踏み外さなかったら、それはそれで、立派な人生やと思います。常に勝たんでも、いいんです。負けたって、いいんです。拳法の試合に、勝とうが負けようが、商売で得をしようが、損をしようが、そんな目先の事は、どうでもいいんです。いつも笑顔でいられたら、自分自身も周囲の人も、それで幸せやと思います。
そんなこんなで、帯に刺繍する言葉は、”常笑不悖”に決まりました。今では、この言葉は、僕の座右の銘になっています。世界に、たった一つしかない、自分だけの言葉っちゅうとこも、お気に入りの理由です。
他の人に使われんように、商標登録しとかなあかんな・・・・・。