2006.02.28「死のドライブ」その1

おまち堂のコラム

僕は、2年程前の2004年6月に、山に囲まれた約60坪の土地を購入しました。

その土地は、市街化調整区域内にありますんで、法律上は家を建てられない事になっています。

それでも、僕は、周りに自然が多く残っている、その土地が気に入って、思い切って購入しました。

桜の木を数本、柿の木、梨の木を2本ずつ、梅の木も1本植えました。その他、山吹やロウバイの木なども、ぎょうさん植えました。自分で穴を掘って、池もこしらえました。のんびりと休日を過ごすには、もって来いの土地です。

隣の土地の所有者であるペンキ屋が、ペンキの缶を雨ざらしにしたり、皆の共有の道路に、2台も3台も車を青空駐車していたり、ゴミを散らかして帰ったりと、せっかくの自然環境をムチャクチャにしてる事には怒りを覚えるんですけど、そんな事があっても、僕は、そこの土地を大変気に入っています。

ほとんどの休日には、足を運んで、自然土地ライフを満喫しています。近くには、川も流れていて、ほんまに、ええところです。暇つぶしには、もって来いの土地です。

雨で仕事が休みの時なんかに、一人で訪れて、傘を差しながら、2時間も3時間も、自分で植えた木々や花を眺めながら時間を過ごす事もあります。車の後部座席に横たわって、雨の音を聞きながら、サンルーフのガラスに当たる雨を眺めながら、時間を過ごすのも楽しいです。不思議とこれが飽きません。

前々から、そこの土地に雨をしのげる小さな小屋を建てたいと思っとったんですけど、その願いが、ついに実現する時が来ました。

インターネットのオークションで、何気なく「プレハブ」という言葉で検索をかけてみたら、4畳半の広さの物置が出品されていました。

タイトルには、「パネルに分かれます★倉庫・物置・作業部屋・工作室・プレハブ」と書かれていたんですけど、画像を見てみると、それは、パッと見たところでは、小さな小屋に見えました。

僕は、「これやっ!」と思いました。見るからに”プレハブ”っちゅう感じの四角い金属的な物置を、その土地においたら、せっかくの自然に囲まれた土地の景観を損ねてしまうんですけど、その”物置”は、一見すると、”小屋”に見えますんで、これやったら土地に置いても、絵になるやろうと思いました。

出品地域は、”兵庫県”になってたし、「1トン車に積み込めます。」、「解体組立は、吊り上げ用のユニック車があれば1人でもOKです。手作業の場合は、2人以上をお勧めします。」、「保管場所にも意外と困りません。」などと書かれていたので、僕は「これはええ!」と思いました。

土地に池を作る時も手伝うてくれた、工事関係に詳しい友人に尋ねてみると、「4畳半のプレハブやったら一人でも組めるで!」と教えてくれたんで、僕は、是が非でも、その物置を落札する事にしました。

最初は、5万円スタートやったんですけど、最終的に、僕が落札した金額は、6万2千円でした。せやけど、プレハブ小屋が、その値段で手に入るんやったら安いもんやと、僕は大喜びでした。

僕は、おかんに連絡を取って、物置の積み込みを手伝うてくれるようにお願いしました。僕のおかんは意外と力が強くて、いつも家具を運んだりする仕事には、一緒に来てもろて、手伝うてもろてるぐらいでした。おかんは、二言返事でOKしてくれました。2月11日に取りに行く旨を出品者に伝えて、これで、一応の全ての段取りが着いて、ホッと一安心でした。

それから、僕は、兵庫県豊岡市に住む友人に電話を掛けました。出品者の住所が彼の家から近かったんで、せっかく近所まで行くんやから、もし彼がその日空いてるんやったら、久しぶりに会いたいと思て、電話を掛けてみました。

彼は、快く物置の積み込みを手伝うてくれると言うてくれました。せやけど、日にちを出来たら12日に変えて欲しいとの事でした。そこで、僕は再度出品者と連絡を取って、日にちを変更してもろて、おかんにも電話を掛けて、「友達が手伝うてくれる事になったらから、おかんは、もうええわ。その代わり、次の日の月曜日に、土地で組み立てるん手伝うてや。」と伝えました。これで万事がOKでした。おかんよりも、力のある”男”が来てくれる上に、約10ヶ月ぶりに、友人にも会える事になりました。ここまでは、僕の計画は完璧に進行していました。

その友人が、「こっちは、ムチャクチャ雪降ってんで。普通のタイヤでは無理やで。走られへんで。」と教えてくれたんで、僕は、前日の2月11日に、カー用品店に足を運んで、雪道用のタイヤ・チェーンを購入する事にしました。

せやけど、残念な事に、「トラックのタイヤは特殊になりますんで、取り寄せになります。今日、明日と、メーカーは休みになりますんで、週明けに注文を出す事になりますね。」と店の人に言われてしまいました。

それでは、どない考えても間に合いません。雪道を走るんは、まさに、その次の日でした。僕は、心から「あちゃぁぁぁ~ぁぁっ!」と思いました。冗談抜きで、「ひょっとしたら、俺、明日死ぬかも知らん・・・・・。」と思いました。

せやけど、僕は、次の瞬間に無理矢理に思い直しました。「まぁ、でも彼の話では、大きな道路は通れるとの事やから、近くまで行って、またカー用品店に寄ったらええわ。雪国の店やったら、トラック用のタイヤ・チェーンもきっと売ってるやろ。それか、豊岡の市街地まで行って、レンタカー借りてもええな。向こうのレンタカーは、滑らんタイヤ装着してるはずやわ。」

僕は、翌朝の8時に、落札した”物置”を引き取る為に、現地に向かって出発しました。

 

~続く~

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