2006.03.10「怪物のいた夏」その1

おまち堂のコラム

2日前の水曜日に、大阪府豊中市内にある、日本拳法道場に顔を出しました。

僕は、大阪府枚方市にある道場に所属していて、普段は、週2回、車で1時間半近くかけて通ってるんですけど、今年は、攻めの気持ちで、積極的に行動を起こす事に決めましたんで、その第一ステップとして、今回、”出稽古”という形で、豊中市の道場に顔を出させていただきました。

僕が通う枚方の道場には、僕より強い人が、あまりいてませんので、本当に上を目指すのであれば、自分より強い人がたくさんいる道場に通うのが一番です。

2年前に一度、道場の変更を考えていた頃に、そこの道場の見学には行った事があったんですけど、結局、その時は体調も思わしくなくて、その後、日本拳法は、もうやめようと決意した事もあって、一度も、稽古に参加した事はありませんでした。今回、稽古に参加させてもろたんが初めてでした。

常識で考えたならば、同じ拳法を続けるんやったら、わざわざ遠くの道場に、車で1時間半もかけて、高いガソリン代を払ろてまで通うよりも、自転車でも行ける距離にある、近くの、そこの道場に通うんが当り前です。

おまけに、そこの道場の方が、自分よりも強い人が何人もいてますので、力を付けて、より上を目指すのであれば、持って来いの環境が整っています。

それに加えて、僕が所属する、最近の枚方の道場では、同じ月謝を払っている稽古生であるにも拘わらず、子供達の防具の着装や、試合の審判の手伝いまでやらされてしもて、自分達の稽古時間が十分に取れんような状況です。

先週の金曜日なんかは、特にひどくて、わざわざ車で1時間半もかけて行ったにも拘わらず、僕が防具を付けて、実戦稽古をした時間は、わずか5分にも満たないぐらいでした。車で、往復で2時間以上掛かるという状況(帰りは、道が空いていますので、1時間掛からずに帰れます)で、稽古時間が5分未満では、何しに行ってるか分かりません。ほんまに、前回の稽古では、汗をかく暇もありませんでした。

100人に聞いたら、まず間違いなく100人の人が、「枚方の道場は、やめるべきやわ。近くに、他の道場がないんやったら、話は別やけど、近所に、そないに、ええ道場があるんやったら、そこに通うんが当り前やん。」と言うと思います。実際に、僕も、そない思います。枚方の道場に、わざわざ通うメリットは、ほとんどないと言わざるを得ません。

そもそもにおいて、今や豊中市民である僕が、なぜ、枚方市の道場に通っているのかといえば、それは、僕が、日本拳法を始めたのが、大学生の頃やったからです。僕の通っていた大学は、枚方市にありましたので、その当時の僕は、枚方市で1人暮らしをしていました。せやから、僕は、枚方市の道場で日本拳法を始めて、その後、大学を卒業して、豊中市に戻って来てからも、道場は変更せずに、そのまま、枚方の道場に通っていたという訳なんです。

僕が、昨年の1月に復帰する以前の道場では、子供の試合の審判をやらされる事はありませんでした。防具装着のお手伝いは、以前にも、させられていましたけど、それでも、時間にしたら10分もあれへんぐらいでした。それは、自分達の稽古時間を圧迫する程のものではありませんでした。

それに、昔は、道場の子供達は、みな礼儀正しくて、大人と子供が共に稽古をするという、先生の指導方針にも、ある程度は共感を持っていましたんで、それも悪くはないと思っていました。自分達より目上の人と接する機会を子供達に与えて、言葉使いや、きちんとした礼儀作法を身に付けさせるというのは、悪い事やないと思っていました。おまけに、昔は、有段者は、指導的な立場に立つという意味で、皆、月謝を免除されていました。

せやけど、僕が復帰してからこっちは、道場は、えらく様変わりをしていました。

まず、以前の有段者の月謝免除制度がなくなっていたこと、それと、子供達の躾が全然なっていない、ちゅうことが、一番の違いでした。

最近の子供達は、先生の目の届かんところでは、大人の僕達には挨拶もしませんし、防具装着をお願いする時の、「お願いします!」、終わった後の「ありがとうございました!」ちゅう、当然、言えて当たり前の言葉ですら、よう言わん子が増えています。

最近の子供は、親や学校の先生に怒られるっちゅう経験が、あんまりないみたいで、僕らが怒ってみたところで、てんで言う事を聞きません。

おまけに、今や僕ら大人も、昔とは違って、子供達と同じく、月謝を払ろて通う稽古生の身ですので、それ程、きつい事も言えません。

ちょっと前に、僕が、風邪で休みはった先生の代わりを務めた時に、子供を叱り付けた時は、一部の子供には、見事に逆切れをされてしもて、言う事は聞かんし、文句はタラタラやったし、ほんまに、往生しました。

最近は、親子関係からして、友達みたいな感じになってきてますんで、自分達の親よりも年下の僕達なんかは、子供達の目から見たら、自分達と同レベルの人間なんかも知れません。そら、言う事も聞かんはずですわ・・・・・。その時に、僕が怒った1人の女の子なんかは、それ以降、一切、僕とは口を利いてくれんようになってしもたぐらいです。

そないなったら、自分達の親よりも、はるかに年上の60代半ばの先生が、ガツンと子供を叱りつけんとあかんのですけど、先生から見ると、小学生の稽古生らは、孫みたいな世代ですんで、なかなか厳しさに徹する事も、でけへんみたいです。

以前、食事会の席で、先生と話をしていたら、「あんまり厳しくし過ぎても、最近は、子供が集まらんからな・・・・・。」と、ぼやいてはりました。

僕は、別に、お金儲けのためにやってはる訳やなくて、ボランティア精神でやってはるんやったら、そないに、無理して稽古生を集める必要もないと思うんですけど、さすがに、そないに偉そうな事は、先生には、よう言いませんでした。

僕なんかは、今の学校では、でけへんような、厳しい教育を子供達に施して、それに、文句があって付いて来られへんような子供や親は、「来ていらん!」ぐらいの姿勢で臨んでも、町の一道場では、許されると思うんですけど・・・・・。僕は、勉強ができる事よりも、そういった、きっちりとした礼儀作法を身に着ける事の方が、将来、生きていく上で必要やと思います。同じボランティアをするんやったら、そっちの方が、絶対に、未来の日本にとって有益やと思います。

「悪貨が良貨を駆逐する。」ちゅう言葉がありますけど、本人達には、やる気がないのに、ただ親の意向で、道場に無理矢理通わされているような子供達が多くなってくると、真剣に、やる気のある子供達までもがやる気をなくしてしまいかねません。今の道場は、僕の目には、そない、なりつつあるように見えます。

そんな、やる気のない子供達の防具付けや試合の審判をさせられて、自分達の貴重な稽古時間を奪われてしまうような事には、どない考えても、納得が行きません。礼儀正しくて、真剣にやる気があって、強くなりたいと考えてる子供達のお手伝いやったら、喜んでしてあげたいと思いますけど、残念ながら、今の状況では、単なる時間の無駄やと言わざるを得ません。

タダでも、それじゃ割に合わんのですけど、それを、月謝を払ろて、さらに、毎回、ガソリン代に千円近くもかけて、往復2時間以上もの時間をかけてまで通っとったとしたら、なおさらの事です。

 

~続く~

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