2006.05.23「まさかの先輩に遭遇!」その1

おまち堂のコラム

もう、かれこれ2ヶ月ほど前の話になるんですけど、仕事で大阪市内を訪れていた僕は、たまたま2時間程時間が空いたんで、どっかで昼ごはんでも食べようと、全く適当に、今まで一度も通った事のない道を敢えて選んで、ドライブがてらに車を走らせていました。もちろん、何を食べるかも、どこへ行くかも、一切、決めてませんでした。気が向くままに適当に走って、その時にピンと来た店に入るつもりでした。

そして、僕は、一軒のラーメン屋に入りました。

注文を済ませた僕が、壁に貼られたメニューを眺めていると、しばらくして注文したラーメンが運ばれてきました。

男性の店員さんが持って来てくれはったんですけど、カウンター席に座る僕の前に、左斜め後ろからラーメンを置いた後の彼の「ご注文は以上でよろしいでしょうか?ごゆっくりどうぞ。」ちゅうセリフは、恐ろしく事務的でした。そこには感情のカケラも移入されていなくて、ただ、言わなあかんから仕方なしに、嫌々、言うてるような感じがアリアリでした。極端な言い方をすれば、それは、「ほら、おまえのために、わざわざ、こしらてやったんやぞ。さぁ、食え!」ちゅうような威圧感のある口調でした。

僕は、一瞬、「何や、今の全く気持ちのこもってへん言い方は!?客商売なめてるんとちゃうか?」と思いながら、足早に去って行き、持ち場に戻った彼の姿をしばらく目で追いかけてしまいました。

真剣な表情で作業する彼の横顔を観察してみると、少し色が浅黒くて、端正な顔立ちながらも、見るからに一癖ありそうな感じのする、”無口で、頑固なラーメン屋の兄はん”ちゅうイメージの男性でした。

僕は、それを確認して、「どうりで・・・・・。それやったら、しゃぁないな。別に悪気があっての事やないんや・・・・・。」と、ある意味で納得しました。

そして、僕は、出されたラーメンを食べ始めました。

僕が、スポーツ新聞を読みながらラーメンをすすっていると、しばらくして、出口に近いレジの方から、またも、「お会計は○○円になります。ありがとうございました。またお越しくださいませ。」ちゅう、ぶっきらぼうな感情の全くこもっていない不快な声が聞こえてきました。レジの方に目をやってみると、案の定、そこにいたのは、さっきの彼でした。

僕は、ふと思いました。「表面だけで、感情のこもってへん、人を馬鹿にしたような敬語は、ほんまに聞き苦しいな。この男は、コンビニで俺に、いちゃもんを付けてきた男と同じ敬語を使いよるわ。」

ちょっと前に書きましたけど、コンビニで子供にぶつかってこられて、その親に言いがかりをつけられたのは、その、つい2日前の事でした。そない思うと、彼ら2人は、顔も、よう似てる事に気が付きました。人を小バカにしたような、細くて冷酷そうな目つき、文句を言いたげな口元、そして、ちょっと浅黒い皮膚の色まで、そない言われたら、雰囲気が、よう似てました。

と、その時、ふと、僕の脳裏にある事が浮かびました。「あっ!どっかで見た事ある思たら、ひょっとして、あいつ、野球部の先輩ちゃうか?」

僕は、高校1年生の時に野球部に所属しとったんですけど、その時の1学年先輩やった男性に、彼はよく似ていました。

その男性は、野球がムチャクチャ下手なくせに、何しか偉そうで、1年生全員から嫌われまくっていました。彼のバッティングのフォームや、守備の動作は不恰好極まりなくて、お笑いやったんですけど、そのくせ、やたらとカッコだけつけるもんやから、それが、またさらに滑稽で、僕ら1年生部員は、陰で、彼を笑い者にしていました。

彼は、2年生の中で一番野球が下手くそやったにもかかわらず、それでいて、一番、僕らに対して偉そうで、あれこれと訳の分からん命令をしてきたりして、一番、タチが悪くて嫌われている男でした。

高1の頃から数えて、もうかれこれ16年ぐらいが経過してたんですけど、分かるもんですね。不快極まりない敬語を操る、その男の左胸につけられている名札に遠くから目を凝らしてみると、確かに、そこには、その先輩の名前が書かれていました。

 

~続く~

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