僕らは、新大阪駅に到着しました。
いよいよ、別れの時が迫って来ていました。
駅のホームで電車を降りた僕達は、階段を上がり、新幹線乗り場の改札のところまでやって来ました。
僕は、パソコンのメールアドレス、携帯電話のメールアドレス、携帯電話番号を紙に書き、彼女に手渡しました。
「せっかくの帰国やったのに、えらい、しんどい思いさせてしもて、ゴメンな・・・・。気ィ付けて帰りや。。。。」
僕は、言いました。
と同時に、彼女の笑顔を見ていると、ふいに、涙が込み上げて来そうになってしまいました。
新幹線の出発時刻板を見ていた彼女が言いました。
「まだ、出発まで20分もあるわ~。」
「ほな、どっか喫茶店でも入って、時間潰そか?」
「ウチ、もう何も食べれん・・・・。」
「ははは!ほんまやな。俺も、もう食えんわ!」
僕は、続けました。
「ほな、もう、新幹線のホームのベンチに座って、ちょっと、ゆっくりとしとったらええんとちゃう?」
僕は、入場券を買うて、新幹線乗り場まで、彼女を見送りに行きたいとも思ったんですけど、前日の13時頃に会うて以来、その時の16時頃まで、僕が仕事に行っていた時間と風呂に入っていた時間を除いて、ほぼ24時間の時を、ずっと一緒に過ごしていましたので、疲れている彼女に、これ以上、付き纏うのは、迷惑であるような気がしました。
と、それよりも何よりも、乗り場まで付いて行ってしまうと、涙が溢れて、ボロボロと泣いてしまいそうでした・・・・・。
実は、僕、ムチャクチャ涙もろい泣き虫なんです。
手を振って別れた後、しばらくは、JRの電車のホームに向かって歩き出していた僕ですけど、その後、立ち止まり、振り返って、彼女の行方を見守りました。
彼女は、改札口の一番右側のところで、何やら、駅員さんと言葉を交わした後に、その横をすり抜けて、中に入りました。
ほんのしばらく、大きな行き先案内の時刻板を見上げながら、立ち止まった彼女は、その後、キョロキョロとホームを探しながら、一番左の改札の向こう側に消えてしまい、見えなくなってしまいました。
僕は、首に巻いていたタオルの片方の端で、鼻と口を抑えながら、懸命に涙をこらえながら、その光景を見守っていました。
しばらく立ち尽くしていた僕ですが、ようやく諦めて、駅のホームに向かって歩き始めました。何度も何度も、タオルで涙を拭いながら・・・・・。
何か、もう二度と会われへんような気がしました・・・・・。
「君がいた夏は、遠い夢の中・・・・空に消えてった 打ち上げ花火・・・・・」
ジッタリンジンの名曲”夏祭り”の歌詞そのまんまのような、夢のように楽しい2日間でした。
30代締めくくりの夏に、素晴らしい思い出が出来ました。
A子、ありがとうな!
~完~