僕は、男の車の洗車が終わるまで、ただボーっと待っとくんもあれやったんで、一旦、自分の車に戻って、警察に相談の電話を掛ける事にしました。
なんぼなんでも、こないに訳の分からん”いちゃもん行為”が、まかり通るような世の中では、おちおち外出もできません。人とぶつかる度に、または、ぶつかって来られる度に、相手の後遺症を心配せんとあかんような世の中では、人混みの中なんか怖くて歩けたもんやありません。彼らは、何ぼ暇なんか知れませんけど、わや(無茶)言うたらあきません。
僕は、警察に電話を掛けました。
「ちょっと、相談事があるんですけど・・・・・今、店の中で、子供とぶつかってしまいまして、相手は、全く怪我も何もしてないんですけど、親が、えらい騒ぎ立てて、往生してるんですわ。こんな場合は、どない応対したら、よろしいんですか?」僕は、尋ねました。
すると、警察官が言いました。「交通事故ですか?あなたは運転手の方ですか?」
僕は、答えました。「いえいえ、店内で、お互いに歩いてて、軽く衝突しただけなんですよ。怪我なんかするような事故やないんですけど、相手方が、えらい絡んできはって、往生してるんですわ。」
すると、警察官は、「少々お待ちくださいよ。担当部署にお繋ぎしますんで・・・・・。」と言って、しばらく後に、内線が繋がりました。
電話口に出た男性は、「それでは、現場に警察官を向かわせますので、現場の住所と、あなたの住所、名前、連絡先を教えてください。」と言いました。
僕は、全てに答え終えて、電話をおいて、警察官の到着を待ちました。
僕は、これで、筋の通らん訳の分からん事を、でかい顔してほざいてるチンピラも、警察官に諭されて意気消沈となるやろうと、ホッと一安心していました。
10分ほどして、50代半ばの中背で小太り、大きな潤んだ目と高くとがった鼻をした、見るからに頼りなさそうな警察官と、30代半ばの、色白で細い目をした、見るからに、うだつの上がらん、頭の悪そうな警察官が現場に到着しました。
開口一番、50代の警察官が言いました。「あなたが運転手の方ですか?」
僕は、答えました。「いえいえ、歩行者同士の事故なんですよ。いや、事故っちゅうか、ただちょっと軽くぶつかっただけなんですけど、相手の方が、えらい、ごねてはって困ってるんですよ・・・・・。」
警察官が言いました。「えっ!?車の事故って聞いてきたんですけど・・・・・。まぁ、よろしいわ。で、相手の方は、どこに?」
僕らは、店内に入りました。
僕は、てっきり、警察官が「君、あんまり無茶な事言うたらあかんよ。そんな筋の通らん事で揉めても仕方ないじゃないか。お互いに、もう和解したらどないですか?」と、男を諭して、その場を丸く納めてくれるもんやと期待しとったんですけど、彼らは、見た目通りに、ほんまの役立たずで、ただ僕らの住所と名前、生年月日、連絡先等の個人情報を収集して、事の内容を聞いただけで、何もしてくれませんでした。
僕らは、警察が来る前のやりとりを、彼らの目の前で、ただ再現しただけに過ぎませんでした。2人の警察官は、それを、口を挟まずに、ただ傍聴しとっただけでした。
「警察官は、民事事件には不介入ですので、お互いの話し合いで解決してもらうしかありませんね。」50代の警察官は言いました。
「おいおい!それはないやろ・・・・・。こんなアホと話し合いなんかできるはずが、あれへんがな・・・・・。」僕は、心の中で叫んでいました。
この頃には、明らかに、相手が金目当てである事に気付いていた僕は、警察官に尋ねました。「話し合いが、まとまらんかったら、どないしたらいいんですか?」
全く頼りにならん50代の警察官が答えました。「そうなったら、裁判するしかないですね。納得の行かないお金は、一銭も払う必要はありません。役所の法律相談とか、警察にも相談所がありますんで、そういったものも利用してみたら、どないですか?別に、今日中に、慌てて答えを出す必要もないでしょう。お互いに冷静になって、後日に話し合うという方法もありますよ。」
警察官が全く口を挟まんもんやから、男は調子づいてしもて、あたかも、自分達こそが被害者で、自分の言い分が、全て正しいんやと言わんばかりに、余計に大きな顔をして、僕に相対するようになりました。
せやけど、そもそもにおいて、男もその妻も、2人とも僕と子供の衝突した瞬間を見てないんです。事実関係を、一切把握してへん人間に、警察官2人の前で大きな顔をされて、いちゃもんをつけ続けられた日には、それこそ、言うて行くところがありません。
パンダみたいにアイシャドウを塗りたくった女は、僕と男とのやり取りには、一切、口を挟んでないんですけど、トイレから出てきた男に、僕と子供がぶつかった事を悪意を持って告げ口したり、筋の通らんやり取りの最中に、僕が誠意を持って謝ってる姿を目撃しながらも、「あんた、もうやめときぃや。可哀想やん。」と、男に言わんところを見たら、やっぱり、彼女もグルなんでしょう。
間違いなく、彼らは常習犯で、気の弱そうな相手を見つけては、いちゃもんを付けて、金を巻き上げる事を、今まで、繰り返しとったに違いありません。
せやけど、今回ばかりは、ちょっと相手が悪いです。自分で納得したお金やったら、何ぼでも、喜んで払う僕ですけど、払う必要のない無意味なお金は、もし仮に、金持ちで、唸るほどの金を持っとったとしても、一銭も払いたくないのが僕です(実際の僕は、ご存知の通り、悲しい程の貧乏人ですが・・・・・)。
僕は、たったの100円であったとしても、人に「貸して!」と言われて貸した場合は、必ず、返して欲しい人間です。もちろん、「ちょうだい!」と言われた場合は、あげん事もないんですけど、「貸して!」と言うた以上は、相手には、必ず返す義務があると思います。それを、「たかが100円やないか。細かい事言うなよ。」とか何とか言うて返さんような人間とは、決して、お付き合いはしたくないです。僕は、それは一種の詐欺やと思います。今まで、そういった類の人間は、嫌っちゅう程、目撃して来ました。
お金っちゅうもんは、汗水垂らして、一生懸命に働いて、やっとこさ、手に入る貴重なもんです。決して、人を泣かして、楽をして、手に入れるようなもんではありません。
そんなお金を手に入れて喜んでるような人達に、くれてやるような無駄なお金があるんやったら、鼻でもかんで、ゴミ箱に捨てた方が、まだ、何ぼか有益に違いありません。
そんな人間に、くれてやるような余分なお金があるんやったら、たとえ少額であったとしても、恵まれない子供達に、何かプレゼントでも買って、贈ってあげた方が、地球の未来に繋がります。
非常識な人間が、楽して手に入れたあぶく銭は、ロクな使い方されへんに決まっています。
~続く~