第3回 交通事故記念日~その2

空色のエッセイ

俺は、息苦しくなって、吐き気を催し、座っていることすら、しんどくなって、歩道に横になってしまいました。

1月のアスファルトが、とても冷たかったのを覚えています。

定かな記憶ではありませんが、たぶん、俺は、地面に寝そべりながら、とりあえず、当時、勤めていたヘルパー事務所に電話を掛けて、交通事故に遭うて、サービスには入れない旨を、真っ先に伝えたとお思います。

警察への電話は、おばちゃんがしてくれました。

おばちゃんは、事故の状況と、起きた場所を伝えていました。

そして、最後に、電話の向こうの警察官が、「救急車は、必要ですか?」と尋ねました。

おばちゃんは、僕に言いました。

「警察の方が、”救急車は、どうしますか?”って、聞いてますけど・・・・・。」

俺は、答えました。

「呼んでもろてください。」

おばちゃんは、電話口に向かって言いました。

「はい、救急車も、お願いします。」

おばちゃんは、電話を切りました。

俺は、警察官が来るまでの間、ずっと、地面に横たわっていました。

途中、近所にあったコンビニで、事故を起こした車の運転手である若い男性が、500mlのペットボトルのお茶を持って来てくれました。たぶん、この2人は、親子なんやと思いました。

「どっちがいいですか?」

と、2つ出されたうちの、十六茶を選んだ事を鮮明に覚えています。当時の俺は、”あまり美味しくない”との理由で、十六茶は、あんまり好きやなかったんですけど、なぜか、十六茶を選びました。

もう一方のペットボトルが何やったんかは、覚えていません。ひょっとしたら、俺が選んだんやなくて、ただ、十六茶を渡されただけかも知れません。ここら辺の記憶は、曖昧です。

17年後の今になって、ふと、思いましたが、この時、男性が手渡してくれたのは、冷たいお茶でした。1月の冷たい地面に横たわっていましたので、たぶん俺は、ホットの方が嬉しかったと思いますが・・・・・。

当時は、まだ、ホットのペットボトルは、売られてなかったんかな?

まぁ、せやけど、その時の俺は、お茶の温度なんか、気にできるような状態じゃなかったのは、確かです。そんな、心の余裕は、ありませんでした。

地面に横たわりながら、何口か飲んだ、あの独特の味は、今でも忘れられません。とても冷たくて、飲むと、頭が、シャキッとしたのを覚えています。

たぶん、10分後ぐらいには、警察官が到着したと思います。

せやけど、警察官が、こんな風な事を言うてたのを覚えています。

「え?救急車、必要やったんですか?それは、聞いてませんでした・・・・・。」

俺は、地面に横たわりながら、思わず、突っ込みを入れてしまいました。

「おいっっっ!!!!!!!!(怒)風邪引くわ、、、、、いや、出血多量で死ぬわ!」

俺は、胸の上で、手袋をはめたままの右腕を曲げて、その腕を左手で支えるようにしながら、地面に横たわっていました。

その時は、痛みの感覚が戻って来ていて、自分の怪我した場所が、右手の小指である事が分かっていました。

せやけど、俺は、手袋を外して、自分の目で、それを確認する事ができませんでした。

今まで感じた事のない痛みの感覚と、手袋の上から、軽く触ってみた感触からして、恐らく、小指がグチャグチャになっているであろう事を感じていました。

俺は、怖くて、手袋を外してみる事ができませんでした。

~続く~

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