
エレベーター付近で会うたおばちゃんは、俺に声を掛けてくれはりました。
「今日は、本当に、申し訳ありませんでした。お怪我の方、どうでした?」
「あ~、わざわざ来てくれはったんですね。ありがとうございます。右手の小指が、皮一枚だけで何とか繋がってるような状態で、千切れかかってたんですけど、とりあえず、今のところは、引っ付けてもらえましたわ。この先、化膿して、細胞が壊死してしもたら、切断せなあかんみたいですけど・・・・。」
「そうなんですね・・・・・・。本当に、申し訳ありませんでした。。。。。。」
おばちゃんは、ものすごく落ち込んではるように見えました。
「いやいや、、、、そないに、気にせんとってください。たぶん、大丈夫ですわ!」
俺は、おばちゃんに心配をかけないように、努めて明るく、笑顔で言いました。
すると、隣に立っていた、ご主人さんと思しき、短めの白髪で、眼鏡を掛けた、いかにも”くそ真面目なサラリーマン”といった感じに見える、おっちゃんが言いました。
「君、、、小指がなくなったら、ヤクザ屋さんじゃないか・・・・・。」
「ははは、ほんまですねぇ!」
おっちゃんは、軽い冗談のつもりやったんかも知れませんが、俺は、内心、「このオッサン、どついたろうか?」と思いました。事故に遭うて、大怪我を負った人間に対して、あまりに無神経な一言ですよね・・・・・・。
おばちゃんが、ひどく落ち込んでいる様子でしたので、これ以上、おばちゃんを追い詰めないように、笑って済ませてあげる事にしましたけど、ほんまやったら、
「何やと?誰のせいで、こんな指になったと思っとんねん!?」
と、首根っこを掴んで抗議をしても許されるような、心に突き刺さる、無神経な一言やったと思います。
お二方とは、笑顔で別れた俺は、エレベーターに乗って、病室に案内されました。冷静に考えたら、怪我をしたのは足やなくて、手の指やったんで、車椅子なんかには乗らんでも、普通に歩けたんですけどね・・・・・。(笑)
俺は、その病室で、5日~6日、入院生活を送る事になりました。
~続く~

