2005.02.03「ボクシングが好きでした」その3

バンド時代のコラム

俺のボクシングに対する熱が冷め始めたんは、王座を陥落したタイソンが、婦女暴行事件を引き起こして、有罪になって服役するあたりからです。何か、あの辺から、ボクシングに対する気持ちが急激に冷めてきました。

真の王者がおらんようになった後のヘビー級戦線は、皆がドングリの背ェ比べ状態で、同じ人間同士がタイトルを取ったり、取られたりの繰り返しで、見とっても全然面白くなくなってきました。

たぶん、モハメド・アリの引退後のヘビー級もこんな感じやったんやと思います。そこへ、タイソンが登場して、混乱したヘビー級を盛り上げたんやと思います。やはりスポーツ界にはカリスマが必要で、カリスマのおらんスポーツ界は、廃れる運命にあるんやと思います。

ボクシングのヘビー級の世界は、巨大なカリスマを失うて、その輝きを失うてしまいました。カリスマがおってこそ、その恩恵を受けとった他のライバル達も、とたんに、その輝きを失うてしもて、全ての試合が茶番劇のように思われるようになりました。

好きやったホリフィールドも、そういった冷静な目で見てみると、大した人物やないように思われてきました。今回見た1996年の試合も、意図的に、相手に頭突きをかましてまで、優位に試合を進めようとしてるんやないかとさえ思いました。

タイソンの堕落と歩調を合わせるように、俺も英語の勉強から興味を失い、堕落した大学生活を送るようになりました。在学中は、試験前にしか勉強はしませんでした。高校時代の延長で英語の勉強を続けとったら、今頃の俺は、もうちょっと、所得税が払えてるはずです。

せやけど、もちろん、タイソンの通訳を夢見ていた俺の堕落を、タイソンのせいにする気は毛頭ないです。俺の堕落は、俺自身の責任です。それにしても、かつてのヒーローが、あそこまで落ちて、醜い姿になってしまうやなんて悲しい限りです。

ただ、冒頭の2人の対戦が、お互いの全盛期に行われとったらと思うと、残念でなりません。全盛期のタイソンの強さは桁外れやったけど、俺は、それでもホリフィールドが勝ったような気がします。ボクシングは肉体だけの戦いやないと信じたいです。

<~完~>

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