そこの居酒屋で、しつこく僕らは、生ビールを飲みました。
そないにお腹は減っていませんでしたので、ツマミには、枝豆、トマト、ポテトフライを注文しました。
時刻は、21時半を回っていました。
僕は言いました。
「最終の新幹線、22時半頃やろ?今日は、もう泊まってったらええんちゃうの?明日、何か、予定あんの??」
A子が言いました。
「明日は、何も予定はないよ。」
「ほな、もう泊まって行きぃや。俺の事務所に泊まったらええやん。事務所にはクーラーあるから、快適やと思うで。」
「それやったら、ホテルに泊まるわ・・・・・。」
「ホテルなんか泊まったら、金掛かるやん。そんなん、もったいないわ!うちの事務所に泊まったらええやん。俺は、自分ち帰るけど、うちには、クーラーあれへんからな・・・・・。事務所には、クーラーも付いてるし、快適に寝れるで。誰も出勤して来ぇへんから、ゆっくり寝とっても大丈夫やで!」
結局、彼女は、実家に電話を掛けて、その日は家には帰らずに、大阪に滞在する旨を連絡しました。
それを受けて、僕は事務所のある、実家の親父に電話を掛けました。
電話口に出た親父に、僕は言いました。時刻は、22時2分でした。
「遅い時間にゴメン!今日、同級生を、事務所に泊めよう思うねんけど、余ってる布団ってある?もしあったら、事務所に運んどいて欲しいねんけど・・・・・・。」
親父は、言いました。
「余ってる布団か、、、、、??それやったら、倉庫に置いてある、家具積む時のアテの毛布でええんちゃうんか?」
僕は、言いました。
「あ~、ほんまやな!その手があったな!ほな、倉庫からちょっと毛布借りるで。遅い時間に、申し訳ない。おおきに、おおきに!」
遅い時間に、わざわざ、実家の3階から、1階の僕のヘルパー事務所まで、寝具一式を下ろしてもらうのも気が引けましたので、僕は、そこで手を打ちました。
そない言うたら、店の倉庫には、家具や荷物を、トラックに積み込みする際に使用するアテの毛布が、嫌っちゅう程ありました。
それらの毛布とクーラーさえあれば、何人も快適な睡眠が取れると、僕は信じて疑いませんでした。
何でって、普段の僕は、居酒屋の帰りに、毛布もクーラーも何もない、コンクリートの歩道の上で、快適に睡眠を取っています。
それを考えると、僕にとっては、毛布を敷いた、クーラーのある事務所というのは、まさに天国に違いありませんでした。
居酒屋を出た、僕とA子は、再び天満橋駅に向かい、地下鉄谷町線に乗り、東梅田駅で下車しました。
そこから、阪急梅田駅まで歩き、阪急電車に乗り、宝塚線の豊中駅で下車しました。
時刻は、午前0時過ぎでした。
僕は、言いました。
「俺、明日、仕事あるから、6時半起きやわ。このまま、事務所帰って、もう寝ようか?俺は、自転車で家まで帰るから、A子は、事務所でゆっくり寝てたらええわ。]
「・・・・・・・・・・・。」
「どないする??それか、カラオケ行こか?駅前のジャンボカラオケやったら、まだ開いてる思うけど・・・??」
「行こう!行こう!」
結局、僕らは、カラオケに行く事になりました。
僕がA子とカラオケに行くやなんて、それこそ、20代前半の1997年以来の事やったかも知れません。
アルバムを紐解いてみても、1997年4月13日に、彼女の地元で開催した花見の2次会で、カラオケに行って以来の写真というのは残されていませんでした。
実に実に、その日のカラオケというのは、僕がA子と行く、16年3ヶ月以上振りのカラオケでした。
~続く~