何が無謀って、そもそもにおいて、僕が約３年半ヘルパーステーションに勤めていたと言うても、登録ヘルパー時代が約１年あって、しかも、その間、交通事故に遭うて、勤務すらしていない時期が、半年近くあります。
そんなスタート地点から、僕は、そこの事業者で、サービスがある時にだけ仕事をする”登録ヘルパー”ではなく、常時、事務所に出勤する”常勤さん”へと出世します。
せやけど、その”常勤さん”というのも、正社員ではありません。”社員さん”とは違い、固定給で働くのではなく、あくまでも、僕は、時給何ぼで働く”パート勤務”の労働者でした。
僕は、３月末に勤務を辞める直前の１月に受けた国家試験に合格して、ようやく今年の４月になって初めて、介護福祉士を名乗れるようになりました。
この業界の、”サービス提供責任者”という役職には、介護福祉士か、ヘルパー２級で実務経験が３年以上の人間しか就く事ができないんですけど、僕は、その役職に就いた経験がありませんでした。
正社員経験もなく、サービス提供責任者の経験すらない人間が、いきなり事業所をオープンさせたやなんて、これ、多分、僕が全国初やないかと思います。
と、そないに思ってしまうぐらい、僕の行動というのは、完璧に”無謀”でした。１０００％無謀でした。
僕が、勤めていた事業所を辞めたのは、３月３１日で、開業したのが５月１日でした。
その準備期間というのは、４月という、たったの１ヶ月間だけでしたが、その貴重な期間に僕がしていた事といえば、ノーテンキに、豊岡に旅行に行ったり、島根県の教習所に、泊まりがけで大型２輪免許を取りに行ったりといった、勤め人からの解放感から来る”現実逃避”でした。
”逃避”を終えた僕は、当然の事ながら、開業準備を進めて行くにつれて、嫌でも、現実に直面してしまいました。
「俺、とんでもない事をしようとしてるわ・・・・・・。こんなアホな事してたら、せっかく２年以上も裁判で争って、やっとの事で勝ち取った交通事故の賠償金が一銭もなくなってまうわ・・・・・。同じ、なくなってまうんやったら、どっか海外にでも長期間遊びに行って、有意義に使こた方が、絶対にええわ。そうや！子供の頃からの憧れやったアメリカに遊びに行こう！イギリスにも行きたいなぁ！このまま５月に開業してしもたら、間違いなく金は、一銭もなくなってまう・・・・・。」
そないに考えた僕は、断腸の思いで、開業を見合わせる事に決めました。
勝算が低過ぎました・・・・・。そして、あまりにも、無謀でした・・・・・。冷静に考えて、ドブにお金を捨てるようなもんでした。
交通事故に遭うて、曲がらなくなった上に、１ｃｍも縮んでしもた右手の小指が、開業してしまうと、まさに、犬死でした・・・・・。
～続く～
